2016年フィリピンと日本は国交60周年を迎え、1月には天皇皇后両陛下がご訪問されました。フィリピンの人口は1億98万人(2015年)で若い労働力も多く、一人当たりGDPは消費が活発化するといわれる3,000米ドル目前の2,858米ドル(2015年)です。つまり、フィリピンはアセアン諸国の中でも急成長している国の一つなのです。
安定した政治、経済運営で高い経済成長率をけん引してきたアキノ大統領の6月末の任期満了に伴い、5月9日、フィリピンで大統領選挙が実施されました。
大統領選では、アキノ大統領の後継者であるマヌエル・ロハス前内務地方自治相を抑え、ミンダナオ地方ダバオ市のロドリゴ・ドゥテルテ市長が当選しました。ドゥテルテ氏は、米大統領選におけるドナルド・トランプ氏と同様、「法律なんて関係ない、俺が国を立て直す。」等過激な発言が話題となり、フィリピンのトランプ氏ともいわれています。
そのため経済界からドゥテルテ氏に対する不安の声が上がったものの、20年以上に渡りダバオ市長を務め、ダバオ市の治安を大幅に改善させ、多くの外国企業の誘致に成功した功績が国民に認められ、今回の当選に至ったと分析されています。
当選後は、アキノ政権の経済政策を継承する他、連邦制の導入や外資誘致に積極的に取り組むため憲法の見直しにも意欲的な姿勢を見せています。
成長著しいフィリピンの治安改善及び外資誘致政策は、日本企業や自治体にとっても目が離せないものとなっています。
シンガポール事務所では、今後も新大統領下のフィリピン政府の動きを注視しながら、自治体の皆様に有益な情報発信を行ってまいります。
(シンガポール事務所 押川所長補佐)