2016年7月21日、ミシュランガイドのシンガポール版が初めて発行されました。その中の目玉は、2店舗の屋台が一つ星を獲得したことです。ミシュラン一つ星を獲得したのは、チキンライスとチキンヌードルが有名な 「香港油鶏飯麺」と豚のそぼろ肉を載せた和え麺が有名な「吊橋頭大華猪肉麺」 です。どちらもホーカーセンター(シンガポールの至るところ存在する、日本 で言うフードコート。)の一角にあり、ミシュランを獲得する前から現地の人々の列が絶えない大人気の庶民派グルメです。ミシュランの星を獲得するレス トランと言えば格式ある高級店のイメージが強いですが、「香港油鶏飯麺」の店主からも、星獲得の一報を聞いた際、「冗談でしょ?ミシュランの調査員が屋台に来ることなんてあるの?」と驚きの声があがったそうです。ミシュランガイドの国際部長は、選定理由を「シンガポールは、貿易と商業の交叉地点であり、様々な食と文化が出会い影響し合い、豊かな食文化が生まれている。その結果、ホーカーセンターももれなく食の宝庫となっている。」と語っていま す。
シンガポールは、多民族・多宗教国家で外国人在住者も多い国ではありますが 、個々の文化を大切にし、多様な価値観を認めている国です。それは食にも反 映されており、個々の文化を尊重しているからこそ、互いに共鳴し、しのぎを削り、独自の食文化が育まれている国でもあります。ホーカーセンターには、あらゆるシンガポールの料理が立ち並び、安価でシンガポールの食を楽しむことができます。シンガポールに来られる機会がありましたら、本場のホーカーを試してみてはいかがでしょうか。
(シンガポール事務所所長補佐 押川)