2016年10月6日に発表されたシンガポール政府民意調査機関の調査結果による と、シンガポール在住者の約8割が死刑制度を支持していることが分かりました。また、高学歴者ほど死刑を支持する傾向が見られ、大学や大学院卒は68%、これに対し小学校卒以下は54%でした。肯定派は「死刑は重大犯罪から国を守るうえで重要な抑止力となる」という考えを支持しています。
日本でもFNNによって同様の調査が今年度実施されましたが、シンガポールと同様の結果となっ ています。シンガポールは日本と同様、死刑残置の国でありますが、死刑に値する犯罪についての考えや法律は、両国間で大きな差があります。日本では、「死刑になる犯罪」 は17の罪状のみと法令で規定され、殺人などの凶悪犯罪が主になりますが、シンガポールを含む近隣のアジア諸国では薬物などに関わる犯罪も重大犯罪とみなされ死刑が宣告されます。これは日本や、アメリカ、ヨーロッパといった他の地域ではみられない特徴です。東南アジアは麻薬の違法生産が依然として行われており、麻薬取引による収益が反政府勢力の資金源となり、地域の政治情勢を揺るがす大きな脅威となって いるため、国家の安全を守るために、薬物犯罪への対処が重要な政治課題となっていると考えられます。
シンガポールは薬物使用に対し厳罰を規定することで、薬物排除に取り組んでいる国のひとつであり、処罰の対象は外国人にも例外なく及んでいます。
(シンガポール事務所所長補佐 堀江)