シンガポールに成人式の伝統はありません。
実は、シンガポールの成人年齢は21歳です。選挙権が付与され、婚姻もできるようになりますし(親の同意があれば18歳から可能)、日本で話題の統合型リ ゾート(IR)の中核をなすカジノにも21歳から入場できるようになります。
他 方、既に18歳で様々な制約が解除され、自動車運転免許取得の他、お酒、タバ コも購入できるようになります。このように、懐かし青春アニメのエンディングテーマではありませんが、シン ガポールでは「大人の階段を登っていく」と言った方が分かり易いかもしれま せん。
国民の約4分の3が中華系であるシンガポールでは儒教思想が根底に流れており、ある一時点で突然大人になるのではなく、生涯にわたって子どもは親である大人から見て子どものままであり、大人である親を敬うもの、という考え方があるのでしょう。
一方で、ムスリムが多いマレー系では10~12歳で「割礼」という儀式が行われ、宗教的にはそれをもって大人の仲間入りと見做すようです。
中華系、マレー系、インド系の人々が暮らす多民族国家だからこそ、画一的な成人の行事は馴染まないのかもしれません。
もっとも、18歳や21歳の誕生日に は、身内や親しい友人を招いて自宅やレストランでパーティーを催すそうです。
きっと、「想い出がいっぱい」になるのでしょうね。
(シンガポール事務所所長補佐 佐々木)