シンガポールでは、限られた人的資源を最大限に活用するために、経済発展の初期段階から、民族・宗教・性別にかかわらず、個人はその能力に応じてチャンスが与えられるべきという能力主義を推し進めてきました。その結果、女性の社会進出が進み、25~64歳の女性の就業率は70%を超えており、また、65歳 以上でも17%となっています(LABOUR FORCE IN SINGAPORE 2015)。さらに、共働き世帯も多く、その割合は、日本の54%に対し、シンガポールは80%を超えています(日本総研「2015年度アジア主要都市コンシューマインサイト比較調査」)。
このように女性の社会進出が進んでいる背景には、シンガポール政府が働く女性を支援するために様々な政策を取り入れていることが挙げられます。具体的な取り組みとしては、育児休暇や介護・看護休暇の取得を認めていることはもちろん、誕生日休暇や16週間もの産後休暇も与えています(2008年以前は12週間)。
また、女性の再雇用を支援するための企業向けの補助金のほか、フレックスワーク制度を導入する企業への補助金を設けています。
さらに、外国人家事労働者を数多く受け入れるなど、女性が社会に進出しやすい環境づくりに積極的に取り組んでいます。
また、女性が安心して働くことのできる理由として、様々なローカルフードが安価で外食できる「ホーカーズ」と呼ばれる屋台街が整備されていることも忘 れてはなりません。国内の至るところで目にするホーカーズは、手軽でおいしく食事ができるとあって、1日3食をホーカーズで済ませるシンガポーリアンも少なくありません。
このような外食文化が根付いていることも、女性の社会進出を支えている一因と言えます。
(シンガポール事務所所長補佐 安田)