シンガポールでも日本の「弁当」が定着しており、地元のスーパーやコンビニなどで「Bento」として売られています。ただ、一般的には、各店舗とも日本と比べて売場面積は小さく、種類も多くはありません。
その一方で、シンガポールでよく利用されているのが、飲食店での「持ち帰り」です。シンガポールにはホーカーセンター(屋台街)やフードコートといった飲食店街が数多くあり、1食240円くらいからできたてのおいしい料理を食べられることはもちろん、「テイク・アウェイ」と言えば(注:「テイク・アウト」とは言いません。)容器に入れて持ち帰ることもできます。このため、昼食・夕食時にはたくさんの人でにぎわいます。
そこで、ここでは「弁当」と「持ち帰り」を「外食・中食」の一つと捉えて、シンガポールの「外食・中食」事情についてご紹介します。
統計によると、シンガポール家庭での食費における「外食・中食」の割合は3分の2を占めており、日本(3割)のほぼ2倍にのぼります。
「シンガポーリアンは家ではあまり料理をしない」ということをよく見聞きしますが、調査結果にもその傾向がよく表れています。
「外食・中食」の割合が高い要因の一つとして、「共働き世帯が多いこと」があげられます。民間のアンケート調査によると、シンガポールの共働き世帯の割合は84%で、5世帯のうち4世帯が共働きとなっています(日本は48%)。
冒頭で述べたように、ホーカーセンターなど安くておいしい飲食店街の充実もあり、お互い忙しい中で料理をするよりも、「外食・中食」を利用しようということが背景にあると考えられています。
このように家ではあまり料理をしないシンガポーリアンですが、料理への関心が低いというわけではないようです。
2015年にオープンした日本食の料理教室「ABCクッキングスタジオ」には、20~30代の女性を中心に多くのシンガポーリアンが通っています。関係者の方に聞いたところ、「ケーキ作りなど料理を余暇として楽しんでいる方がほとんど」とのことで、料理との関り方が日本とは少し異なっています。
このようなシンガポーリアンの間でどのように家庭での料理が広がりをみせるのか、今後も目が離せません!
(シンガポール事務所所長補佐 中山)