2016年に一世を風靡した「君の名は」をはじめ、熊本地震復興のシンボルとして熊本県庁に「ワンピース」の「ルフィ」の銅像が建設されるなど、日本でも幅広い層に受け入れられているアニメですが、シンガポールでも、若者を中心に多くのファンを魅了しています。
シンガポールでも、もちろん最新のアニメは人気です。ただ、海外から日本のアニメを視聴する方法はかなり限定されるため、「Netflix」や「Amazon Prime Video」などの動画配信サービスに加入し、視聴するのが主流です。
これらのサービスでは、新旧限らず幅広いジャンルのアニメが配信されているため、そのおかげで最新のアニメに限らず、日本で少し前に流行ったようなアニメでも知名度があり、多くのファンがいます。しかしその反面、日本で人気なジブリ作品などは、これらのサービスでは視聴できないためか、必ずしも知名度は高くない印象です。
ちなみに、「Netflix」では全てのアニメが英語字幕付きで配信されているため、 好きなアニメを見ながら日本語も学べるということで、日本語学習ツールとして活用しているシンガポーリアンも多いようです。
好きな物を好きな人同士で語りたい!という欲求はシンガポールでも同じで、友人同士はもちろん、ネット上の掲示板やFacebook等のSNSなど、様々な形でコミュ ニティが形成されています。
その中には、日本でいうオフ会(同好会)のようなものもあり、私が先日参加した会では、参加者6名と少人数でしたが、日本人は私一人で、私以外は中国系とマ レー系のシンガポーリアンという構成でした。私も含めほとんどが初参加でしたが、好きなアニメを交えた自己紹介を終えた後には、「そのアニメは自分も見た! すごく良かった!」や「あのキャラクターが好きだ!」など、アニメを通してすぐに打ち解けることが出来ました。
私が参加したのは、好きなアニメについて語り合うという比較的ライトな会でしたが、中にはコスプレ好きが集まる会など、より濃い内容のコミュニティもあり、 アニメを通して様々な形での交流が行われています。
オフ会の参加者に「何でアニメが好きなの?」と質問したところ、「作画が綺麗」、 「ストーリーがしっかりしている」、「キャラクターが可愛い」など、その意見 は日本人とほぼ変わりませんでした。シンガポーリアン独特の意見のようなものを期待していたため、その時は正直少し拍子抜けしてしまいましたが、これは裏を返せば、アニメは国や人種等に関わらず共通の価値観を提供できるグローバルなコンテンツであるということを意味するのではないかと思います。
日本のアニメは、ただの娯楽だけでなく、日本と海外の架け橋となれるようなポ テンシャルを秘めたコンテンツなのではないでしょうか。
シンガポール事務所 所長補佐 中間