自治体国際化協会シンガポール事務所は、フィリピンでTravel Innovators INCが主催する「Travel Madness Expo 2017」(以下、TME 2017)に参加し、日本政府観光局(以下JNTO) と連携してビジット・ジャパンブース(VJブース)において、訪日観光PRを実施しました。
TME2017は例年、年に1度開催され、2月に開催される「Travel Tour Expo(TTE)」に次ぐ規模の旅行博であり、世界各国のブースが設けられ、フィリピンの一般消費者向けにアピールする絶好の機会です。当事務所職員が現場で見たフィリピン訪日旅行市場の最新状況をレポートいたします。
フィリピンの経済の安定やLCC路線の拡充、訪日旅行プロモーションにより、2016年のフィリピンからの訪日旅行客数は過去最高の347,861 人(前年比29.6%増)を記録し、初めて大台の30万人を超えました。この伸び率は、東南アジア諸国でインドネシア(前年比32.1%増)に次ぐ数字であり、今後も大きく伸びていくことが期待されます。
また、この勢いを受け、2017年内にマニラにJNTO新事務所が開設される予定です。
フィリピンからの訪日旅客数の推移(出典:JNTOウェブサイト)
年次 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 |
訪日旅客数 | 108,351人 | 184,204人 | 268,361人 | 347,861人 |
前年比増加率 | +27.4% | +70.0% | +45.7% | +29.6% |
※フィリピン総人口 100,980,000人(H29.6.16外務省HP)
VJブースを訪れる方々は、まだ日本を訪れたことがない方が多く、「日本のどこへ行ったら良いか」「ベストシーズンはいつなのか」といった基本的な質問が多く投げられました。
訪問先としては、東京、大阪、京都のゴールデンルートに加え、北海道に関する問い合わせが多く、東京ディズニーリゾートやユニバーサルスタジオジャパンなどのアトラクション施設の人気もありました。また、「桜」への関心が非常に高く、鑑賞のベストシーズンを訪ねる方が多くいる一方、桜は局地的なものと勘違いをしている方も多く、日本のどこででも見られることを伝えると驚かれることが印象的でした。ほか、「〇月は日本ではどの季節なのか?フィリピンと比べて暑いのか、寒いのか?」と気候を気にするような声、また日本地図を広げた際に東京、大阪、北海道ですら全体における位置が把握できていない様子から、まだまだ日本に関する情報が不足していることを感じました。
VJブースに来る方の中には、「この日程で日本に行くのだけれども・・・」という言葉で質問を始める方が多いことに気づきました。これは、旅行会社のブースでまず格安航空券を購入し、その後具体的な行き先を決めていくというのが、基本的な旅行計画の立て方だからだそうです。また、ブース出展をしていた日系ホテルの方にお話を聞いたところ、購入した航空券の支払いの目途がついてから、宿泊施設を申し込む方が多いということで、FIT(Foreign Independent Tour)が多い市場であることが窺えました。
今回日本からは自治体や各関係機関が北海道、新潟県、長野県、和歌山県、岐阜県、鳥取県、沖縄県の観光をPRしました。各所、まだまだ知名度が低いということを実感する一方、フィリピン人の日本への興味・関心の高さや購買力の高さは予想以上であり、今後期待できる市場であるということを強く感じたということをおっしゃっていました。
当事務所では、引き続きASEAN諸国の訪日旅行市場最新情報を収集し、関係機関とも連携しながら地域の魅力を発信していきます。
概要 | Travel Innovators INCが主催するフィリピンの国際旅行博覧会 |
開催期間 | 2017(平成29)年7月6日(木)~9日(日) |
開催場所 | The SMX Convention Center |
対象 | 一般消費者 |
来場者数 | 約4万4,500人(暫定値) |
ジャパン・パビリオン 出展団体数 |
12団体/16ブース |