バスや地下鉄などの公共交通機関が発達しており、また、年間を通して気温の高いシンガポールでは、これまで街中で自転車に乗っている人を見かけることはほとんどありませんでした。しかしながら、最近は街の至るところで橙色や黄色、銀色といったシェアサイクルを目にする機会が増えてきました。今回は、当地のシェアサイクル事情について簡単に紹介します。
シンガポールにおいては2017年1月から「oBike(オーバイク)」という国内発のシェアサイクルサービスが開始されました。また、これとほぼ同じ時期に中国発の大手2社もシンガポール市場に参入しました。夏にはさらに2社が参入し、現在、全5社が提供しているシェアサイクル総数は約3万台に上るなど、わずか9カ月あまりで利用者数が急速に増加しており、早くも市場競争が過熱の兆しを見せています。
「oBike」を例にとると、最初の利用登録時にデポジットとして49シンガポールドル(約4千円)かかりますが、その利用料金は15分につき0.5シンガポールドル(約40円)と大変安価です。
また、利用方法はスマホがあれば実に簡単で以下の4つのステップを踏むだけです。
(1) oBikeのアプリの地図上で近くにある自転車を検索(自転車にはGPS機能搭載)
(2) 上記アプリで自転車に貼り付けられたQRコードを読み取り
(3) QRコードの読み取りが完了すると自転車が自動で解錠
(4) 乗車後に指定の駐輪場に停めて、手動で施錠
このように、リーズナブルかつ誰でも気軽に利用できることもシェアサイクルサービスの急速な拡大に一役買っていると言えるでしょう。
なお、解錠から施錠までが利用対象時間としてカウントされるため、施錠をし忘れると自転車に乗車していなくても料金が加算されるので注意が必要です。
街中の様々な場所で利用できるシェアサイクルサービスは便利である反面、私有地や公園といった指定返却場所以外に違法駐輪され、当局が撤去に乗り出すというケースもたびたび報告されています。そのため、各社はアプリ上での不適切なユーザーへの不利益措置や駐輪場を増設するなど様々な対策を講じています。
(シンガポール事務所所長補佐 安田)